〜 コップと水滴 〜 作者:NAIDEN
コップの内側に 水滴が付いている。
コップという世界のなかに閉じ込められたその雫は
コップが逆さに置かれてある為に
乾いて消えて無くなってしまう事も無い。
消滅までのモラトリアムの間
水滴はコップの中で、鬱屈とした閉塞感を強く味わうのだろう。
気化する手段を遮られた彼らは
コップという壊せない『枠』へ憎しみを常に抱え続けている。
液体が気体になる理由は
常に後付けされるもの。
液体が気体になる理由を
定義付けるのは、一体、誰なのだろうか。
命令を下している、個人か。
それとも、個人の集団である、法人か。
それとも、法人の集団である、社会か。
それとも、目に見えない、重い空気の圧力か。
水は、
空気中に絶えず溶け込んでいるものの
何かに遮られると、決まって
今の状態を維持してしまう。
水の姿をそのままとどめておく、ための、
たった一つの、コップ無しには
水は姿をとどめおく事すら出来ない。
僕のコップに、今、亀裂が入り
亀裂の間から、ほんの少しづつ、水が漏れている。
その事について、開放感を感じるには
僕はもう、大人になりすぎてしまった。
コップに亀裂が走ったら
新しいコップに
買い換えようとしてしまうからだ。
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